ホッホーとは、ふくろうの鳴き声です。また、「なるほど、なるほど、ホッホー」と感心する声でもあります。


by hohho-biny

2007年 09月 09日 ( 1 )

f0139963_623183.jpg昨日、クレヨンハウスでアーサー・ビナード氏の講演
「ジョーよ引っ張れ」を聴きました。
世界は物語というメディアにリンクされている。
絵本はどんな綱引きの上に成り立つのか?
熊谷守一の蟻の目で見る観察眼、「蟻は左の二番目の足から歩き出すんです」と語った言葉に、相手(蟻)に合わせて観察する力の凄さを感じると。
日本語はカビのはえた言語だという発言に私はいたく感心しました。
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物語はいつも海を廻っている。
「ジョーよ引っ張れ」という船乗りの歌のように作者と引っ張り合うことで絵本が成り立っている。
絵本にマグロは一匹も描かれていないが、ページの波間にマグロがいるというような「描かないで書く力」が絵本にはある・・・というような話でした。
流暢な端正な日本語でユーモアを交えながらのスピーチに感動しました!
日本語を自在に駆使したエッセイ集も多く出版されていて、外国人の視点での観察にうふふとなります。
絵本「ここが家だ」はアメリカの水爆実験による「死の灰」を被った第五福竜丸事件を描いた本です。1950年代に社会派画家ベン・シャーンが描いたタブロー画の連作にビナード氏が構成・文を手がけた力作です。日本絵本賞を受賞しました。
私が初めて彼の作品を読んだのは7年前。中原中也賞受賞の詩集「釣り上げては」です。
日常のくらしや旅、エイズ、父への思いなどが綴られ、日本語とはこんなにも美しかったのかと思い知らされ!感動しました!!
「焼かれた魚」はプロレタリア詩人小熊秀雄の作品をビナード氏が英訳した絵本です。
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思潮社「釣り上げては」より抜粋して書写し、感動をおすそ分けします。
(彼は、昨日のブログに載せた詩人木坂涼さんのお連れ合いです)

     父はよく 小さいぼくを連れてきたものだ
     ミシガン州 オーサプル川のほとりの
     この釣り小屋へ。
     そして或るとき コーヒーカップも
     ゴムの胴長も 折りたたみ式簡易ベッドもみな
     父の形見となった。

     カップというのは いつか欠ける。
     古くなったゴムは いくらエポキシで修理しても
     どこからか水が沁み入るようになり、
     簡易ベッドのミシミシきしむ音も年々大きく
     寝返りを打てば起こされてしまうほどに。

       ものは少しずつ姿を消し 記憶も
       いっしょに持ち去られて行くのか?

     だが オーサプル川には
     すばしこいのが残る。
     新しいナイロン製の胴長をはいて
     ぼくが釣りに出ると 川上でも
     川下でも ちらりと水面に現れて身をひるがえし
     再び潜って 波紋をえがくーー

     食器棚や押入れに
     しまっておくものじゃない
     記憶は ひんやりした流れの中に立って
     糸を静かに投げ入れ 釣り上げては
     流れの中へまた 放すがいい。
    
by hohho-biny | 2007-09-09 08:16 | ホッホー文庫