路上スナップ
2008年 06月 08日
東京都写真美術館で「森山大道展」を観ました。
今年70歳の写真家の「足跡」と「今」を二ヶ所で展示しています。
今回は200点ほどの「足跡」を鑑賞。
すべてモノクロの写真でした。
かつて、森山大道著「犬の記憶」と「犬の記憶 終章」(河出書房新社)を読んで以来、すっかり彼のファンになりました。
私も犬ですし、カメラ片手にうろついていますから、こういう写真が好きです。
どこまでも続く道を、あてどなく歩いて行く・・・
ふと、後ろに気配を感じて振り返る・・・と、ニンゲンがボクを狙っている・・・
1978年<木古内>
1971年<犬の町>
昨今は野良犬がいなくなり、ニンゲンに飼いならされたかわいいワンちゃんばかりですが、私は自由気ままに生きている野良犬が好きです。(でも見るだけで関わらない)
2002年<新宿>
路地裏をうろついている人にしか撮れない、こんな猫の写真もあります。
一貫して路上を撮り続け、そこから見える日常を切り取り、目に映った断片が集まって渦巻き、膨大な記録となっています。
見ていると様々な記憶を呼び覚まされ、ニンゲンの孤独や欲望の街の混沌や得体の知れぬ不安などが迫ってきます。 光と影のとらえ方が抜群です。
一枚の美しい芸術作品を作るのではなく、どうしようもなく割り切れない自分と、決して一つの視点で見通すことのできない混成体である街とが鋭く交感する瞬間を求めているとのこと。
「相変わらず道草など食いながら、いつか道端につんのめる日がくるまで、カメラを手に歩くほかないのだろう」(犬の記憶 終章より)