ホッホーとは、ふくろうの鳴き声です。また、「なるほど、なるほど、ホッホー」と感心する声でもあります。


by hohho-biny
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手から、手へ

手から、手へ_f0139963_7202536.jpg

            手から手へ
                              詩 池井昌樹

               やさしいちちと
               やさしいははとのあいだにうまれた
               おまえたちは
               やさしい子だから
               おまえたちは
               不幸な生をあゆむのだろう

               やさしいちちと
               やさしいははから
               やさしさだけをてわたされ
               とまどいながら
               石ころだらけな
               けわしい道をあゆむのだろう

               どんなにやさしいちちははも
               おまえたちとは一緒に行けない
               どこかへ
               やがてはかえるのだから

               やがてはかえってしまうのだから
               たすけてやれない
               なにひとつ
               たすけてやれない

               そこからは
               たったひとり

               まだあどけないえがおにむかって
               やさしいちちと
               やさしいははとは
               うちあけようもないのだけれど

               いまはにおやかなその頬が痩け
               その澄んだ瞳の凍りつく日がおとずれても
               怯んではならぬ
               憎んではならぬ
               悔いてはならぬ

               やさしい子らよ
               おぼえておおき
               やさしさは
               このちちよりも
               このははよりもとおくから
               受け継がれてきた
               ちまみれなばとんなのだから
               てわたすときがくるまでは
               けっしててばなしてはならぬ

               まだあどけないえがおにむかって
               うちあけようもないのだけれど
               やさしいちちと
               やさしいははとがちをわけた
               やさしい子らよ
               おぼえておおき

               やさしさを捨てたくなったり
               どこかへ置いて行きたくなったり
               またそうしなければあゆめないほど
               そのやさしさがおもたくなったら
               そのやさしさがくるしくなったら

               そんなときには
               ひかりのほうをむいていよ
               いないいないばあ

               おまえたちを
               こころゆくまでえがおでいさせた
               ひかりのほうをむいていよ

               このちちよりも
               このははよりもとおくから
               射し込んでくる
               一条の
               ひかりから眼をそむけずにいよ

詩を読みながら・・・目頭がジーンと熱くなります。
今日は勤労感謝の日。
父方の祖父母から、母方の祖父母から、父母に手渡されたやさしさのバトン。
父母から私に手渡されたやさしさのバトン。
そのやさしさに包まれた苦悩の日々。
私もまた、子どもたちにちまみれのやさしさのバトンを手渡すでしょう。
そのちまみれのやさしさを抱きながら、先祖が勤労し続けて今があることに感謝します。
by hohho-biny | 2012-11-23 08:14 | 詩の時間