みずうみ
2012年 07月 16日
7月16日、今日は海の日。
真夏のような暑さで、ベランダを強風が吹き抜けていきます。
小野竹喬のこの絵葉書が、
今日の暑さにピッタリ。
奥の細道句抄絵 1976年
暑き日に海にいれたり最上川
7/12の毎日新聞の余禄欄に茨木のり子の詩
”みずうみ”が紹介されていました。
全詩を読みたかったので、
文庫から詩集を出してきました。
この絵葉書は ”水”
福田平八郎 昭和33(958)年
”みずうみ”というと、
この絵本を思い浮かべます。
しいんとした静寂につつまれて
おじいさんと少年は夜明けを迎えます。
みずうみ 茨木のり子
<だいたいお母さんてものはさ
しいん
としたとこがなくちゃいけないんだ>
名台詞を聴くものかな!
ふりかえると
お下げとお河童と
二つのランドセルがゆれてゆく
落葉の道
お母さんだけとはかぎらない
人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖をもつべきなのだ
田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で
それこそ しいんと落ちついて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖
教養や学歴とはなんの関係もないらしい
人間の魅力とは
たぶんその湖のあたりから
発する霧だ
早くもそのことに
気づいたらしい
小さな二人の娘たち
遠い声を聞く女 ジョージア・オキーフ
山本容子 1996年
凛とした静かな佇まいに意志の強さが感じられます。
刺繍する女
リヴモン・プリヴァ(1861~?)
女が向き合う独りの時間
何を想っているのか?
母は若いころから心の底に静かな湖をたたえた女でした。
その湖から発する霧は、今も謎のままなのです。