崖 石垣りん
2012年 07月 10日
母の花コーナーの桔梗が咲きました。
ふっくらとして少しずつ夢を育んでいた蕾が
パッと開いた朝♪
何とも美しい色と形にうっとりします。
母も祖母も好きな花だったのではないかと
想像します♪
母や祖母を想うとき
石垣りんの「崖」という詩を思い出します。
戦争を生き延びて女の命を全うしたけれども・・・
ある時、ある思いで崖から身を投げたのではないか?
その思いがまだ、私に届いていないのではないか?
とホッホーは時々想うのです。
崖 石垣りん
戦争が終り、
サイパン島の崖の上から
次々に身を投げた女たち。
美徳やら義理やら体裁やら
何やら。
火だの男だのに追いつめられて。
とばなければならないからとびこんだ。
ゆき場のないゆき場所。
(崖はいつも女をまっさかさまにする)
それがねえ
まだ一人も海にとどかないのだ。
十五年もたつというのに
どうしたんだろう。
あの、
女。
この詩は、1968(昭和43)年刊行の詩集「表札など」に収められています。
石垣りんは48歳でした。