ホッホーとは、ふくろうの鳴き声です。また、「なるほど、なるほど、ホッホー」と感心する声でもあります。


by hohho-biny
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マザー・テレサの瞳

マザー・テレサの瞳_f0139963_7532034.jpg

マザー・テレサの一生を緻密な絵で表現した素敵な絵本です。
彼女は、何故
あのような生き方ができたのか?
客観的にとらえて綴っているので、
ホッホーホッホーと感心してしまいます。

作者はイタリア人
絵・ピエロ・ベントゥーラ
文・ジアン・パオロ・チェゼラーニ
訳・女子パウロ会
2009年8月 初版 女子パウロ会


マザー・テレサを想ううとき、思い出す詩があります。
詩人茨木のり子作 ”マザー・テレサの瞳”
マザー・テレサを云いえて妙で感動的ですから、書きとめておきます。

     マザー・テレサの瞳は
     時に
     猛禽類のように鋭く怖いようだった
     マザー・テレサの瞳は
     時に
     やさしさの極北を示してもいた
     二つの異なるものが融けあって
     妖しい光を湛えていた
     静かなる狂とでも呼びたいもの
     静かなる狂なくして
     インドでの徒労に近い献身が果たせただろうか
     マザー・テレサの瞳は
     クリスチャンでもない私のどこかに棲みついて
     じっとこちらを凝視したり
     またたいたりして
     中途半端なやさしさを撃ってくる!

     鷹の眼は見抜いた
     日本は貧しい国であると
     慈愛の眼は救い上げた
     埃だらけの瀕死の病人を
     --ーなぜこんなことをしてくれるのですか
     ---あなたを愛しているからですよ
     愛しているという一語の錨のような重たさ

     自分を無にすることができれば
     かくも豊饒なものがなだれこむのか
     さらに無限に豊饒なものを溢れさせることができるのか
     こちらは逆立ちしてもできっこないので
     呆然となる

     たった二枚のサリーを洗いつつ
     取っかえ引っかえ着て
     顔には深い皺を刻み
     背丈は縮んでしまったけれど
     八十六歳の老女はまたなく美しかった
     二十世紀の逆説を生き抜いた生涯
   
     外科手術の必要な者に
     ただ繃帯を巻いて歩いただけと批判する人は
     知らないのだ
     瀕死の病人をひたすら撫でさするだけの
     慰藉の意味を
     死にゆくひとのかたわらにただ寄り添って
     手を握りつづけることの意味を

     ーーー言葉が多すぎます
     といって千九百九十七年
     その人は去った

            詩集「倚りかからず」(筑摩書房)より
     
by hohho-biny | 2010-01-23 08:58 | 詩の時間