ブッポウソウのなぞ
2009年 08月 08日
鳳来寺山に行く前に読んでおいた方がよいとoliveさんが送ってくれた本です。
昭和9年、迦葉山で「ブッポーソー」と鳴く鳥の声をラジオ放送で全国に聴かせたいという企画がありました。
しかし、山奥で夜から明け方にかけて「ブッピョー、ブッピョッピョー」と鳴く鳥の姿を見た者がありません。
声の主はきっと「ブッポウソウ」という緑色の鳥だと思われていました。
最初の生放送は、鳥が鳴いてくれなかったので、失敗に終わります。
次に、迦葉山よりももっと多く聞こえる鳳来寺山での放送は、「プッピョー ブッピョー ブッピョッピョー」と鳴き続けてくれて成功します♪
その後、ブッポウソウの正体をつきとめようとするマニアたちが何人か現れ、声の主はブッポウソウではなく、コノハズクだったということが判明します!
ブッポウソウは、「ゲーッ、ゲーッ、ゲ、ゲ、ゲ、ゲ」と昼間に飛びながら鳴きます。
このブッポウソウ騒動を納めたノンフィクションです。
録音テープもインターネットもなかった時代の人々の熱い思いが伝わってきました。
歌人の若山牧水は、1923年の夏、鳳来寺山の医王院に寝泊りして、八日目にブッポウソウの声をきいたそうです。
「仏法僧 仏法僧と なく鳥の 声をまねつつ 飲める酒かも」という短歌をつくりました。
長い石段の途中の岩壁に彫り付けてあるそうです。
見るのが楽しみです。若山牧水が急に身近に感じられました!
小林清之介著、小峰書店、1972年発行
本文88ページより
上がブッポウソウ
下が声のブッポウソウのコノハズク
2007年の6・7月にNHKのみんなのうたで放送された歌です。
ブッポウソウのラジオ中継を昭和17年(小学校4年)に岡崎でラジオを聞き、翌年鳳来寺山に登り、戦時中の灯火管制の中、真っ暗な中で、霧がたちこめて暗い眼下の沢から聞こえてきた「ブッポウソウ」の鳴き声は、怖いくらい神秘的に聞こえてきたそうです。
あの半世紀以上も前の不穏な時代、「日本はどうなるのか?」と、みなが先行きを案じていた第二次大戦中に、この「ブッポウソウ」の放送がどれだけ多くの人の心を癒したか。
ぜひ再び戻ってきて「ブッポウソウ」の歌声を聞かせてほしいと願って「鳳来寺山のブッポウソウ」を作詞・作曲したのは、冨田勲です。
放送の最後に聞こえてくる「ブッポウソウ」の声は、当時の本物の録音の音だそうです!
残念ながら、平成の時代に入ってから、ここ十年は「ブッポウソウ」の鳴き声が聞かれなくなったそうです。
奇跡がおきて聞くことができますように・・・