読書の秋
2012年 10月 05日
暴走老人のせいでストレスがたまるので、何も考えずに読書の世界に逃げ込みます。
「ホイッスル」は、読み応えがある長編小説でした。
作者の藤岡陽子氏は1971年生まれ。
同志社大で国文学専攻、スポーツ記者を経てタンザニアの大学に留学。
帰国後看護学校を出て、看護師として働きながら小説を書いているそうです。
人生のあり方や、社会のあり方を真っすぐにえぐり捉えて切り取っています。
どうしようもない裏切りと絶望から這い上がっていく女たちの物語で、降りかかってくる悪意に対して、一人ひとりが”ホイッスルを吹く”のですよという清々しい警告にもなっています。
70歳を過ぎた男が突然家出。誰も知らぬ間に家を売却し、女と暮らしているという。
残された60半ばの妻は、家を追い出され、途方にくれる。嫁いで2人の子どもがいる娘、妻に可愛がられた姪、相談に乗る弁護士と事務員。じいさんから金だけを巻き上げようと企む看護師の女、その女の悪友がさらに悪さを企み、ドロドロした悪意に翻弄される善意の人々。
欲望の連鎖が、長年積み上げてきたものを全て破壊していく・・・
by hohho-biny
| 2012-10-05 11:00