感動の映画 3本
2012年 04月 30日
Bunkamuraル・シネマでベルギー映画「少年と自転車」を観ました。
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督が日本で聞いた話をもとに制作された映画です。
赤ちゃんの時に児童養護施設に預けられた少年が、迎えに来ると信じて屋根にのぼって父親を待ち続けていたという話に着想を得たそうです。
映画では、12歳の少年が父親探しをする過程で出会う美容師サマンサとのふれあい。父親に見捨てられて傷ついた少年の心の軌跡が、静かに丁寧に描かれていています。
自分の自転車を取り戻した少年が走り回る街、蛇口の水を流し続ける動作、少年の心に寄り添うサマンサ、悪に引き込まれて事件を起こす少年の心理、川辺を自転車で走る二人・・・等など言葉少なに描かれる情景に惹きこまれてその場に一緒にいるような臨場感です。
人と人がふれあうことで信頼、愛情、善悪、希望の感情が育まれていく心あたたまる秀作です。
痛快なヤマザキマリの漫画Ⅰ~Ⅳを読んでいた(発想がユニークで楽しい)ので、古代ローマの浴場と現代の日本の風呂をどうやってワープさせるのか興味津々で、初日に観に行きました。
ローマ人に扮している顔の濃い男達、阿部寛、市村正親、北村一輝、宍戸開の競演が面白い。
何といっても市村正親の風貌と阿部寛の肢体が素晴らしく美しい!!ローマの彫刻のような身体をどうやって形成したのか?
脇役の老人たちの天衣無縫な仕草も可笑しくて楽しい♪
シャンプーハットをかぶって頭を洗う場面が好き。
いろんなズレの可笑しみを切り取っている秀作
先着100万名に入場者プレゼントとしてこの冊子がもらえます♪
井上靖の自伝的小説をもに社会派の監督原田眞人が映画化しました。
作家の役所光司と母役の樹木希林のかけ合い演技が輝いていて、身につまされる場面やこっけいなドタバタに泣いたり笑ったり忙しいです。
昭和を生きた上流階級の家族の人生模様。
昭和34年、母に捨てられた記憶のトラウマを抱えながら、年老いて記憶を失いだんだん壊れていく母親と関わる作家の苦悩が描かれていますが、にぎやかな家族の中で、生も老いも死も受け入れられています。
母親が記憶を失くして他人になっていく悲しさや母が子を思う気持ちが丁寧に描かれて、しみじみ我が身に引き寄せていろいろ考えてしまいました。