今を考えた二つの展覧会
2008年 12月 31日
今月、二つの展覧会を見ました。
一つはBunkamura ザ・ミュージアムでアンドリュー・ワイエス「創造への道程」展
もう一つは練馬区立美術館で石田徹也「僕たちの自画像」展
いずれも今を生きる私たちに静かに何かを語りかけてきます。
アンドリュー・ワイエスは、
91歳現役のアメリカの画家。
テンペラによる風景画で有名ですが、私は1995年にBunkamuraで初めて観た時、その内なる世界に魅了されました。
今回は素描や水彩画が多く展示され、その創作過程が紹介されていました。
繁栄のアメリカではなく、荒涼としたアメリカの自然や質素な室内や健気に生きる人物像が描かれています。
ワイエスの内なる物静かな世界が、日頃見失っている大切なものがここにあるよと語りかけているようで心に染みわたります。
石田徹也は2005年に31歳の若さで死去した画家です。
自己と社会を見つめて、その繊細な感性で切り取った世界を描いています。
この絵は1996年作の「社長の傘の下」
アクリル板
上のチケットの絵は「飛べなくなった人」
焦点の定まらないうつろな目をした人物は彼の分身であり、それを見る私たちでもあります。
全ての作品が衝撃的で、今の自分を突きつけられるようです。
上は、燃料給油のような食事
1996年
下は、回収 1998年
2008年の終りに
見えないものを見る目を養っておきたいと思ったのでした。